移植鍼灸/胚盤胞移植日当日のスケジュール
目次
移植鍼灸|胚盤胞移植日当日のスケジュール 移植前後の着床鍼灸解説
・大切な胚盤胞移植だから、少しでも着床率を上げてできることはやり切って悔いを残したくない。
・ドキドキして緊張してしまうので、移植日当日はできるだけ良い子宮の状態で、穏やかに安心して良い状態でお迎えしたい。
そのように移植への大切な思いを口にしてくれます。
そのため、より効果的な準備を迎えられるための方法を模索してきました。
移植までの重要なステップは
①良い胚になること(採卵鍼灸)
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②移植までに身体づくりを行う(移植鍼灸)
③着床日に合わせて鍼灸を行う(着床鍼灸)
の三つに大別されます。
①の準備から行うのが卵子にも子宮環境に対しても治療できるので根本的なアプローチです。
凍結中の胚移植がある場合は、②③の移植までに子宮環境を良くするためのアプローチになります。
(もちろん②③の鍼灸は、同じ身体づくりなので、将来的な採卵のための身体づくりの準備になるとも言えるわけですが…)
こちらでは「③着床日に合わせて鍼灸を行う」について解説します。
当院では胚盤胞移植の場合、着床鍼灸として胚盤胞移植当日の鍼(難しい場合は前日or翌日)、もし可能であれば移植直前の鍼をお勧めしています。
着床鍼灸の予約について
11:00を移植優先枠としてご用意しておりますが、同日に移植の患者様が重なることもあるため、移植日が決まったらお早めにご連絡をいただけますと幸いです。
ホルモン補充周期での胚移植の場合
移植の予定日が予め分かっている場合は、移植日の仮予約を押さえておくことができます。
黄体ホルモンの補充開始日が決まった時点で、移植日が本決まりになるので、もし仮予約の日からズレた場合は確定した日に合わせて変更のご連絡をお願いします。
自然周期での移植の場合
排卵日が確定したら移植日が決まります。
早ければ1週間前に移植日が決まりますので、その時点でご連絡をお願いいたします。
初診のご予約について
移植日当日の着床鍼灸を受けられる前に、初診の施術を受けられることをおすすめしております。
①移植までにあらかじめクリニックでの治療状況と、お身体の状態を把握できることで、移植日当日の着床鍼灸をより効果的な状況で臨むことができるためです。
②移植までにお身体のベースを上げることで(移植までに3回以上身体づくりの機会があった方が着床率が高かった)、着床鍼灸をより効果の高い状態で受けることができます。
③移植日当日が初診日の場合、当日のクリニックの混み具合や戻り時間など予期せぬことで時間がなくなってしまい、着床鍼灸を受けることができなくなってしまう可能性があるためです。
空き時間に施術を受ける場合でなければ③については大丈夫です。
胚盤胞移植当日の着床鍼灸流れ
移植直前の鍼灸
・時間に余裕をもって施術を受けられるパターン
移植後の鍼灸
※日曜で当院が休みの場合
移植直前+移植直後(オプション)の着床鍼灸とは
移植直後の着床鍼灸を始めたきっかけ
移植前後の鍼灸治療は論文にはこのようにあります
胚移植の直前および直後に鍼治療を受けた患者群と鍼治療を受けなかった対照群を比較
良質の胚を持つ160人の患者が、無作為抽出により、鍼治療を伴う胚移植(n = 80)と鍼治療を伴わない胚移植(n = 80)の2つのグループに分けられました。
介入: 80 人の患者に対して、胚移植の 25 分前と 25 分後に鍼治療を実施しました。対照群では、支持療法なしで胚移植を行いました。
結果: 鍼治療群では80人の患者のうち34人(42.5%)で臨床妊娠が記録されたのに対し、対照群では妊娠率はわずか26.3%(80人中21人)でした。
2018年5月から2020年4月までにFETを受けたすべての患者が対象となった。凍結胚移植を受けるための院内基準を満たすすべての患者は、胚移植の30分前と直後に、院内で個別に胚移植前後の鍼治療を受けることを選択できる。患者は、FETの前後に鍼治療を受けたグループと受けなかったグループの2つに分けられた。患者の過去の病歴と周期歴が調べられ、妊娠の結果が記録された。妊娠は血清bHCGが5mIUmL超であったことと定義され、臨床妊娠は移植後14日後に経膣超音波検査で胎嚢が確認されたことと定義された。2標本のt検定とカイ2乗分析により、SPSS(SPSS Inc.、米国イリノイ州シカゴ)を使用してデータを分析した。
結果
合計 654 サイクルが分析されました。年齢や BMI などのベースライン特性は、2 つのグループ間で類似していました (p>0.05)。鍼治療 FET グループと非鍼治療 FET グループでは、妊娠率にそれぞれ 66.8% と 56.65% という統計的に有意な差がありました (p=0.003)。同様に、2 つのグループ間の臨床妊娠率も統計的に有意で、鍼治療グループの臨床妊娠率は 60.6% であったのに対し、対照群では 46.95% でした (p=0.017)。さらに、PGT を受け、正倍数体胚を移植した患者のうち、鍼治療を受けた患者の妊娠率は 73.93% と、受けなかった患者の 63.29% と比較して有意に高かった (p=0.042)。 PGT を受けなかった患者の場合、妊娠率と臨床妊娠率はどちらも同様で、鍼治療群の妊娠率は 56.41%、臨床妊娠率は 52.56% であったのに対し、鍼治療を受けなかった群ではそれぞれ 52.63% (p=0.55) と 41.4% (p=0.11) でした。統計的には有意ではありませんが、臨床的には関連性があります。
結論
これまでの研究で、鍼治療は血流を促進し、神経系を調整することが示されています。そのため、胚移植当日に鍼治療を行うことで、子宮への血流を促進しながら、リラックスしてストレスを軽減できると考えられています。中国医学の本質は個別化された治療法を生み出すことであり、標準的な診断は利用されませんでしたが、過去の病歴と周期歴が診断の結論を導き出し、独自の治療法を知らせるために使用されます。全体として、胚移植当日に実施された個別化された鍼治療は、統計的に有意に高い妊娠率と臨床妊娠率に関連していました。
アメリカ生殖医学会(ASRM)