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妊活お役立ちコラム

2024/06/07

不妊鍼灸

妊活セルフケアのアイテム!お灸の効果のメカニズムとは?

温熱効果  抗ストレス作用  免疫・自律神経を整えるお灸の効果

 「体質改善のためにお灸がいいと書いてあったけど、熱いのが怖いから試すのにためらってしまう」

「生理痛が辛くて改善させたいけど、お灸をして本当に変わるのか半信半疑」

「お灸って何に効果的でどこにしたらいいかわからないし、煙も出るから抵抗がある」


昔は、イタズラをしてそれがバレてしまった時、罰を与える事として「灸を据える」といった表現を使っています。
その影響もあり、お灸=熱いものと思ってしまっている方も多いのかもしれません。


しかし現代のお灸は種類も豊富で、自分に合った心地よいあったかさでリラックスできるものがほとんどです。

温活によく使われるお灸ですが、実は温める以外の効果も立証されているのです。


今回は、お灸をすることでどんな身体の変化が起こり、その結果様々な反応が出やすくなることを紹介させていただきます。

    もくじ


お灸とは?

お灸とは、もぐさを燃やし、ツボと呼ばれる皮膚上のポイントを刺激することにより、病気の症状や身体の不調を緩和する東洋医学の治療法です。
(お灸に使われる「もぐさ」の原料がヨモギです。)


お灸の起源は古く、2000年以上も前。
中国北方民族の人たちは、砂漠などの痩せた土地でも自生するヨモギを燃料として使っていたそうです。
この生命力の高いヨモギを使って病気の治療をすることを考え付いたのが、お灸の始まりだとされています。


前漢初期の「馬王堆漢墓医書」の中の「足臂十一脈灸経」にみられ、その後中国最古の医学書とされる「黄帝内経」にお灸のことなどまとめられています。

驚くべき事に、その時代に現在の治療法がほぼ完成していたようです。


そこから日本には6世紀頃に仏教の伝来とともに伝わったとしています。

701年の大宝律令の「医疾令」ではお灸と鍼の学習を定められ、平安時代に編修された「医心方」にはヨモギの薬効と灸療法の解説がされています。

お灸の全盛は江戸時代中期で、その療法はヨーロッパにも伝えられ、お灸の材料にはモグサ(MOXA)と日本名で紹介されています。
明治初期に西洋医学が医学の中心になるまでは、漢方薬とともにお灸は民間治療のひとつとして広く使われていたのです。


お灸の原料

お灸で使用するもぐさは、乾燥させたよもぎの葉の裏側にある絨毛(じゅうもう)を原料としています。
よもぎを刈り取り乾燥して、臼でくだき、葉や茎を取り去るという作業をくり返しくり返しつづけると、やがてほんの少しのフカフカの綿毛だけが残ります。

これがお灸に使うもぐさなのです。

高級品となると原料のよもぎから2〜3%くらいしか取れないと言われています。





お灸の効果・メカニズム

自律神経を整える


お灸には温熱作用のほかにも身体の中で様々な変化(反応)が起こっています。

お灸の熱刺激は神経系に受容され反射的に自律神経系を刺激させて、施灸部位と離れた部位に効果をおよぼします。
この反応を体性-内臓反射(体性-自律神経反射)と呼ばれています。

これは文字通り皮膚からの刺激が遠隔的に内臓や自律神経系に刺激をおくる反応となります。


自律神経の働きを簡単にまとめると
呼吸・脈拍・消化・排便・生殖など生命維持をスムーズに行うこととなります。

そのバランスが崩れてしまうと…

身体症状として
耳鳴り、めまい、偏頭痛、動悸、息切れ、ほてり、不眠、便秘、下痢、生理不順、頻尿、残尿感、慢性的な疲労、だるさ…

精神症状として
イライラ、不安感、疎外感、落ち込み、やる気が出ない、ゆううつになる、感情の起伏が激しい、あせりを感じるなど

肉体的にも精神的にも不調が起こりやすくなるのです。


お灸の熱刺激によりC線維の受容体が反応し、その刺激を脊髄そして脳まで信号を送ります。
するとその変化に応じて内臓に刺激を送るのです。

これにより自律神経の働きが行われるのです。

また、お灸の刺激が脳に伝わる反応と一緒に、C線維→脊髄からまた皮膚に戻る逆行性刺激が発赤として現れます(軸索反射)
この軸索反射を介して感覚神経終末から血管拡張作用を持つカルシトニン遺伝子関連ペプチド (calcitonin gene-reated peptide; CGRP)が分泌され、皮膚の血管が開きます。
さらにCGRPの分泌の調節には交感神経も関与しています。

つまり感覚神経と自律神経がお互いに働き合って反応を起こしているのです。




お灸の抗酸化ストレス作用

ヨモギにこのような酸化ストレス障害に対して制作用のあることを確認している。そして、このヨモギ中の抑制作用成分はポリフェノールであることが認められた。艾の燃焼という酸化的ストレス状態を抑制するものとして、ポリフェノールの存在が示唆されるものである。


通常、私たちの生体内では活性酸素の産生と抗酸化機能のバランスが取れていますが、紫外線、放射線、大気汚染、たばこ、薬剤ならびに酸化された物質の摂取などにより酸化ストレスが引き起こされます。

酸化された食べ物として例えばリンゴ。
リンゴを皮をむいた状態で置いておくと茶色く変色していきます。
これがいわゆる酸化した状態です。

人間の身体の中でもそのような変化が起こります。
酸化により体内のタンパク質や脂肪などの細胞が変性し破壊されることで、老化現象が促進します。
また、がん、糖尿病や脂質異常症、動脈硬化などの生活習慣病の原因にもなります。


お灸はその酸化を抑制させる働きがあるのです。


エネルギー代謝作用

灸刺激による生体の反応の一つとして、疲労改善効果も認められています。

これはお灸をする事で血中カルニチン量の上昇から関連しています。
カルニチン不足ときわめて関係が深いといわれている慢性疲労症候群の症状改善に灸刺激が効果的であることを示唆しています。


抗炎症作用

施灸刺激によりスーパーオキサイドディスムターゼ(SOD)のような抗酸化酵素の上昇を認めている。このことは、生体内で炎症に対して抑制反応が起こっているものと思われる。


SODとは、スーパー・オキサイド・ディスムスターゼ(super oxide dismutase)の頭文字を取った名称で、直訳すると「活性酸素を除去する酵素」という意味となります。
すなわち、SOD酵素は、数ある酵素の中でも、活性酸素を除去するパワーを持った、特別な酵素なのです。
お灸をして抗酸化酵素の働きを高めることで、抗炎症作用をもつサイトカインを誘導することがわかっています。


サイトカインとは、主に免疫細胞から分泌される低分子のタンパク質で、細胞間の情報伝達の役割を担っています。


免疫作用

灸を受けることで免疫系の機能を高め、生体の感染力防御力を高めることができます。

具体的には
・末梢血中の白血球(好中球)数はお灸直後から増加し、その状態は4〜5日間持続する
・単球(マクロファージ、組織球)などの食細胞の遊走性や食作用が亢進する
・食細胞の細胞質にあるリソソーム顆粒の活性が亢進する
・γグロブリン(抗体)は増加する
などとなります。

要は病原体などの敵が身体の中に入ってきた際の防御反応が出やすくなるのです。


抗アレルギー作用

花粉症などのアレルギーは、花粉を敵だと思う反応が過剰に出てしまう事により、様々な症状(目の痒みや鼻水など)が出てしまいます。

お灸はその過剰反応を起こす免疫細胞を鎮静化させ、アレルギー反応を抑える働きがあります。



血流改善

お灸を据えた側の下腿三頭筋の血流は、刺激中に起こる一過性の減少反応と、その後引き続く長時間の増加反応が観察されます。〜
以上の反応をまとめますと、灸刺激による初期に起こる一過性の血流減少反応は、交感神経α受容体を介した一過性の減少反応で、その後に続く長い増加反応はCGRP を介して起こる軸素反射様の反応であると考えられました。


この論文はお灸した直後よりも、その後の方が血流が長く流れやすいことを証明しています。


止血作用

灸刺激によって血流凝固系の機能亢進(血液凝固時間の短縮)、線維素溶解系の機能亢進が見られます。

血流凝固系と線維素溶解系の主体をなす血漿タンパクは肝臓で生成されるため、これらの機能は肝機能に依存しています。
そのため鍼灸刺激は肝臓の血漿タンパク合成機能を亢進すると考えられています。

簡単にいうと…
転んで血が出てしまった際に、その血を止めるために肝臓から血を固まらせる成分が分泌されます。
その成分が傷の近くまで運ばれて、血管の穴を埋めることで出血がおさまります。

鍼灸刺激が血を固める成分の合成を上げる働きがあるのです。


お灸の副作用

お灸の副作用には、次のようなものがあります。
やけど
灸あたり

やけど:熱く感じたらすぐに外してください。「熱い」はやけどをするサインとなります。なお、その日の体調などで「熱さ」を感じにくい方がいらっしゃいます。「赤みを帯びる」「チリチリ感じる」なども外すサインです。

灸あたり:お灸を据えることにより体内の血流が変化するため、その変化に対して敏感な方は頭が重い、めまい、食欲不振、気持ち悪いなど体調不良を感じる場合があります。お灸の刺激量が多すぎることも要因と考えられています。一時的なもので、ほとんどの場合1日で良くなります。


お灸の Q&A

患者さんからよく聞かれる質問をご紹介!!




せんねん灸のやり方を教えてください。


1、台座の裏の紙をはがし、一度指に貼り付けます。
2、もぐさの入った白い筒に火をつけます。
3、台座の部分を持って指からはがし、お灸をするツボにはります。
4、2〜3分たって下まで燃えきったらはずして終わりです。



熱さを感じる方が効果がある?


熱いと感じる感覚は「やけどや水ぶくれ」から肌を守る「サイン」です。熱いと思ったらすぐにはずしてください。
ベストは心地よい温かさです!!
せんねん灸は、台座の厚みによってもぐさが燃焼する熱を調節しています。そのためご自身に合った温熱レベルのお灸をお選びください。


熱いと感じても我慢した方が効くのでしょうか?


同じせんねん灸でも、その日の体調や気温、湿度によって熱の感じ方が変わります。

お灸は熱ければ熱いほど効果があるというわけではありません。
ほどよい温熱でツボを刺激することで効果が現れますので、我慢をせず熱い場合は外してください。


お灸はいつするのが効果的ですか?


1日の中でいつしていただいてもOK。
特にゆったりリラックスできるタイミングがベストなので、自分の生活習慣の中で、時間、タイミングを見計らってお灸をしてもらえたらと思います。
オススメは寝る前です
入浴直後や汗をかいた直後のお灸は、皮膚が水分を含んでいて水ぶくれになりやすいので、20分程度はあけましょう。


お灸は毎日してもいいのですか?


毎日していただいても大丈夫です。
お灸をする事で血行促進や痛みの改善、免疫力アップ、リラックス効果などなど…効果を実感されやすいと思います。


毎日お灸をしていただくと、刺激が入りやすくなり血流も上がるのでより効果的です。


お灸は1日にどのぐらいしていいのでしょうか?


初めての方は1日1回。お灸をして体調の変化(灸あたりなど)がなければ、1日2〜3回と増やしていただいても大丈夫です。


赤ちゃんやペットがいるのですが、お灸の煙は吸っても害はない?


もぐさには精油成分が含まれており、50%はシネオール、その他ツヨン、ボルネオール、セスキテルペンが含まれております。

これらはタバコのニコチンやタールとは異なり発ガン性物質は含まれておりません。

また2022年のもぐさの煙の安全性をみる研究データでは「すべての排出成分量が安全基準を満たしていた」としております。



そあら鍼灸院で行うお灸

透熱灸


透熱灸とは、米粒程度の大きさのもぐさを直接皮膚の上に立てて、線香で燃やし切る方法です。
もぐさを直接皮膚上で燃やすので、単純に熱さを感じやすい方法になります。

熱を身体の深部へ浸透させて身体機能を活発にさせることを目的とします。
当院では主に手足やお腹、背部に使うことが多いです。

当院では、皮膚に触れる直前で火を消すため跡は残らず熱刺激を入れていきます。





知熱灸

山の形をしたお灸となります。
お臍には親指大、肩などには小指大の大きさで作り、温かさを感じたら外します。
治療をする部位によって熱の刺激量などを調節するので、硬く作ったり柔らかく作ったりします。

当院での使い方として
お臍は柔らかく作った知熱灸でじんわり熱を入れ、内臓機能の向上やリラックス効果を高めます。
肩コリなどで硬くなった場所や冷えが強い場所などでは、硬い知熱灸を使います。
硬い知熱灸はお灸の温度がグッと上がるので、熱量が上がりコリを和らげる働きがあります。

他にも捻挫など炎症や腫れを伴う部位に対して、その周りに知熱灸をして熱を発散させるために使ったりもします。





セルフケアでお灸をする

今ではドラッグストアなどでもお灸を売っているので、セルフケアとしてお家でお灸を取り入れるのもおすすめです


台座灸

俗に言う「せんねん灸」と呼ばれているものです。「せんねん灸」という商品を耳にしたことがあるかもしれません。
台座の上にあるお灸に火をつけることで、間接的にツボを温めることが可能。台座の裏はシールになっているので、温めたい部分にペタっと貼るだけで簡単にお灸治療を行えます。
時間も2〜3分と短く、隙間時間にできるので忙しい方でもおすすめです。


棒灸


棒状のお灸となります。
火をつけて、温めたい場所の3〜4cm上からかざすだけなので、お灸が肌に触れることなく、ツボを温めることができるため、初心者の方向けです。

また、ツボの正確な位置がわからなくてもOK。一度に広範囲を温められるので、簡単にお灸ができます。


その他のお灸


その他にも火を使わないお灸
ペタっと肌に直接貼っておくだけで、じんわりツボを温めてくれるのでお手軽。温熱が3時間程度持続するものもありますが、外出時にも貼りっぱなしでよいので、お忙しい方やお子様がいるご家庭でも温められます。
パッチタイプやカイロタイプなどあるので、温めたい場所に合わせて使い分けするのがおすすめです。


事例

「通院は1ヶ月に1回が希望。頑張って2週間に1回。その分セルフケアを頑張ります。」
その方はお仕事が忙しく、なかなか通院ができないとおっしゃっていました。
さらに帰りも遅く、家に着いたら倒れるように寝てしまう毎日をお過ごしのようでした。

より早く妊娠しやすい身体を作っていくためには鍼灸治療セルフケアがベストです。
しかしこの方は仕事が忙しく通院が難しいため、セルフケアをメインで行っていただきました。

そこで私が提案をしたのが「火を使わないお灸」です。

上でも述べた通り、洋服を着たままでも熱を入れられるので、やりやすいのではないかと提案しました。

「これなら仕事中もできるので毎日します!!」


お灸を始めて最初の1〜2ヶ月では何も感じなかったり、熱を感じたとしても少しだったりと感覚が鈍い印象だったようです。
しかし、お灸をし始めて3ヶ月くらい経過するとじんわりと温かく感じるようになり、その頃から生理の時の経血が鮮やかになったり、塊が減ってきたりと生理の状態にも変化が現れてきたのです。


さらにお灸をすすめていくと、
「普段から身体がポカポカしていて、以前より疲れにくくなり、身体も軽くなってきました」と嬉しそうにおっしゃっていました。

そしてついに自然妊娠されたのです。
初診から7ヶ月くらい経った頃でした。

もちろんお灸だけでは少しずつしか身体の変化が起こりづらいです。
しかし、そのお灸の刺激が少しずつ身体を変化させ、その積み重ねにより妊娠できる身体へと変わっていったのです。

妊活のため以外にも風邪ひかないように免疫力の向上のためや自律神経の乱れを整えるためなどお灸を取り入れてみるのも良いかと思います。


まとめ


お灸をすることによって
・温熱効果
・自律神経を整える
・抗酸化ストレス作用
・疲労改善効果
・抗炎症作用
・免疫機能を高める
・抗アレルギー作用
・血流改善
・止血作用など
様々な反応が身体に現れることがわかっております。

例えば雨の日の体調不良や日頃の抱えていることがお灸の効果によって改善し、その変化の積みかさねが妊娠しやすい身体となっていくのです。

お灸で妊娠に近づく一歩を踏み出してはいかがでしょうか。




この記事の著作者

鍼灸師 柔道整復師 福田 真弓

「東京漢方鍼医会」会員

より詳しい内容はこちらをクリックしてご覧ください。

この記事の著作者

院長 松本 敏樹

不妊カウンセリング学会 認定不妊カウンセラー
一般社団法人「日本生殖医学会」会員
妊活コーチ/妊活コーチング
東京漢方鍼医会 代表

より詳しい内容はこちらをクリックしてご覧ください。
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〔①不妊鍼灸3本柱×②不妊カウンセリング×③おうち妊活〕

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