TRIO検査(エンドメトリオ)ERA・EMMA・ALICEによる着床不全検査|不妊鍼灸・妊活鍼灸の【そあら鍼灸院】東京新宿区

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妊活お役立ちコラム

2025/10/24

不妊治療解説

TRIO検査(エンドメトリオ)ERA・EMMA・ALICEによる着床不全検査


「良性胚と言われた受精卵を繰り返し移植するけど陽性が出たことがない。このまま採卵と移植続けていてもうまくいかない気がして不安が募る。」

「PGT-Aをクリアした受精卵。それだけ大事な受精卵だから、万全な子宮環境で迎えたい。子宮環境がわかるトリオ検査をした方がいいのか悩む。」


体外受精で赤ちゃんを授かるためには、卵子の質、胚の質が重要であることは、よく知られています。
しかし、最近では胚を受け入れる子宮環境にも注目が集まっています。

子宮内膜の厚さだけでなく、子宮内に炎症はないか。
またやラクトバチルスなどの良い乳酸菌がどれだけいるのかなど子宮環境をいかに良くしていくかも重要視されてきています。

子宮内が着床しやすい状態なのかを調べる方法の一つ、TRIO検査。

今回TRIO検査によってその後の着床率や妊娠率に変化が出るかなど解説していきます


【もくじ】

  1. 01着床しない理由
  2. 02TRIO検査とは
  3. 03・ERA(子宮内膜着床能)検査(Endometrial Receptivity Analysis)
  4. 04・EMMA(子宮内マイクロバイオーム)検査(Endometrial Microbiome Metagenomic Analysis)
  5. 05・ALICE(感染性慢性子宮内膜炎)検査(Analysis of Infectious Chronic Endometritis)
  6. 06検査の流れ
  7. 07事例
  8. 08まとめ




着床しない理由 

2022年4月から、体外受精が保険の適用を受けられるようになりました。
これにより、経済的な負担が大きく軽減され、治療を受けるカップルの年齢層もやや若くなっています。

しかし、保険適用になったからといって、すべてのカップルがすぐに妊娠できるわけではありません。
妊娠できるまで、長い年月がかかってしまう方もいらっしゃいます。


では、どうして妊娠に至らないのでしょうか。

理由として、大きく分けると二つあります。

「胚の問題」「子宮の状態」です。


「胚の問題」

胚の問題とは、要は受精卵そのものについてです。

たとえば、
  • ・卵子や精子の質
  • ・受精してから分割が進むスピード
  • ・染色体の数や並び方のバランス
といった要素が関係します。

一般的に、卵子は年齢や生活習慣、ストレスなどの影響を受けやすく、精子も酸化ストレスや生活リズムの乱れで質が変化しやすくなります。
それにより質の良い受精卵が作られづらくなってしまう事により着床しにくくなってしまうのです。


「子宮の状態」

子宮の状態とは、受精卵を受け入れる子宮の準備ができているかどうかです。

たとえば
  • ・子宮内膜の厚みや成熟度
  • ・着床のタイミング(着床の窓)
  • ・慢性的な炎症や免疫のバランス
  • ・子宮内の血流やホルモンのバランス
などがあります。

つまり胚と子宮の状態のどちらも整って、初めて着床することができるのです。
 

TRIO検査とは

TRIO検査は、子宮側の問題を明らかにする検査、詳しく言うと子宮内膜に着床不全の原因が無いかを調べる3つの検査(ERA・EMMA・ALICE)をまとめものとなります。
 

TRIO検査の目的

これらの検査で、
  • 1.正確な移植する時期の特定「着床の窓」
  • 2.妊娠に最適な「子宮内の細菌(フローラ)」
  • 3.子宮内膜が慢性的な炎症の有無
を調べることができ、着床や妊娠率を向上させることを目的として行います。


生殖補助医療において良好な胚を複数回移植しても着床しない反復着床不全の方が、着床を妨げている原因の特定に有効な検査といわれています。


日本産婦人科学会では
良好な胚を4個以上かつ3回以上移植しても妊娠しない場合を「反復着床不全:repeated implantation failure:RIF」という
と定めています。


ERA(子宮内膜着床能)検査(Endometrial Receptivity Analysis)

子宮の内膜は、一定サイクルで胚を受け入れるための準備を行います。
その中で胚にとって最も着床しやすい環境が整う期間のこと「着床の窓」と呼びます。

この着床の窓には個人差があります。

体外受精をする際に、12時間過ぎてしまうだけで受精卵が着床できないことがあります。

ERA検査ではご自身の「着床の窓」を調べることにより、着床率が最も高まる胚移植のタイミングを知ることができるのです。


TRIO検査の中でもERA検査はさまざまな報告があります。
まだ先進医療の中でエビデンスを積み重ねている途中といえます。

ERA検査を具体的に解説すると、分子生物学的ツールとして次世代シーケンサーを用い、子宮内膜の着床能に関連する236個の遺伝子の発現レベルの分析を行います。
子宮内膜の組織検体から抽出したRNAを次世代シーケンサーによって解析し、遺伝子の発現プロファイルから受容期(Receptive)または非受容期 (Non-Receptive)に分類していきます。

また5%以下の確率で、検体不足や検体組織の不良のため再度検体採取が必要になることがあると言われています。


受容期前【Pre-Receptive】

受容期前というのは、検査した時だとまだ着床の窓が開いていない状態。
要は移植するにはまだ早すぎる状態となります。


そのため今回のERA検査で子宮内膜生検を行った時刻より1日後に胚盤胞移植を行うことが推奨されます。
(プロゲステロン投与後148±3時間)

例えば…
通常の場合:1月1日にプロゲステロンを投与して120時間後の1月5日移植となります。
受容器前と診断が出た場合:1月1日にプロゲステロンを投与して148時間後(120時間 1日24時間)となり、1月6日移植となります。


受容期【Receptive】

着床の窓にずれはありません。
子宮内膜生検を行った時刻で胚移植を行うことが推奨されます。
(プロゲステロン投与後120±3時間)


受容期後【Post-Receptive】

検査した時だと着床の窓が一度開いて、その後閉じてしまった状態。
要は今回のERA検査で子宮内膜生検を行った時刻では遅い可能性があるという事です。
この場合、新しい子宮内膜生検を行う(プロゲステロン投与で96±3時間)ことが推奨されます。

例えば…上の例でいくと通常1月5日移植です。
受容期後と診断が出た場合:1月1日にプロゲステロンを投与して96時間後(120時間-1日24時間)となり、1月4日で移植の予定で再検査となります。


EMMA(子宮内マイクロバイオーム)検査(Endometrial Microbiome Metagenomic Analysis)

 
EMMA検査とは“子宮内膜マイクロバイオーム検査”と呼ばれるもので、子宮内の細菌叢をみる検査となります。
健康な子宮内膜には乳酸桿菌(ラクトバチルス)が豊富に存在し、乳酸桿菌の割合が高いと着床・妊娠率が上昇すると言われています。


子宮内膜における常在菌の種類と割合を調整し、ラクトバチルス属の菌が90%以上を占める人はそうでない人と比べて体外受精での成功率が高いのではないかという論文を発表しました。


 子宮内膜液中の微生物叢は、その組成に基づき、最大191の操作的分類単位から構成され、ラクトバチルス属優勢微生物叢(ラクトバチルス属菌が90%以上)と非ラクトバチルス属優勢微生物叢(ラクトバチルス属菌が90%未満、その他の細菌が10%以上)に分類された。子宮内膜受容性の獲得中に子宮内膜微生物叢はホルモンによって調節されなかったが、受容性子宮内膜における非乳酸菌優勢微生物叢の存在は、着床率 [60.7% vs. 23.1% (P = .02)]、妊娠率 [70.6% vs. 33.3% (P = .03)]、妊娠継続率 [58.8% vs. 13.3% (P = .02)]、および生児出産率 [58.8% vs. 6.7% (P = .002)] の有意な低下と関連していた。
【子宮内膜微生物叢が移植の成功または失敗に影響を及ぼすという証拠】


このことから、ラクトバチルス属の菌の割合が、妊娠率・生児獲得率に大きな差があることが示唆されます。


子宮環境についてはこちらで詳しく解説しています。


ALICE(感染性慢性子宮内膜炎)検査(Analysis of Infectious Chronic Endometritis)


ALICE検査とは“感染性慢性子宮内膜炎検査”で、子宮内の細菌の中で特に慢性子宮内膜炎(CE)の原因となる細菌を検出します。

慢性子宮内膜炎は不妊症患者の約30%が罹患しているとされています。
なかでも反復着床不全や反復流産の方での罹患率は66%に上ります。

ALICE検査では慢性子宮内膜炎の原因菌を検出することで、より適切な抗生剤と治療法を提案することができるのです。


慢性子宮内膜についてはこちらのコラムをご覧ください。


実は今回紹介しているERA検査やEMMA/ALICE検査は、先進医療に該当いたします。
先進医療とは、厚生労働大臣が認める高度な医療技術を用いた治療法ですがまだ保険適用の対象となっていないもののことを指します。

先進医療はすべて自費診療になるため、通常は保険診療と併用することはできません。
しかし、承認を受けた一部の先進医療については、保険診療と同時並行で行うことができるようになります。


他にも、タイムラプス、SEET法、二段階移植法などがありますので、気になる方は一度病院に問い合わせしてみると良いかもしれません。


検査の流れ

  • 1.胚盤胞移植をおこなう場合と同じ方法で、ホルモン剤を用いて子宮内膜を厚くしていきます。
  • 2.黄体ホルモン剤投与開始から5日目にピペールと呼ばれている器具で子宮内膜組織を採取します。(約5分程度)
  • 3.採取した子宮内膜組織を検査会社に送ります。結果が出るのは大体3〜4週間後となります。

EMMA/ALICE検査だけを受ける方は、自然周期で検査でも問題ありません。
またその場合は、月経周期の15〜25日目に検体採取を行います。

1回の採取でトリオ検査(ERA・EMMA・ALICE)まとめて検査に出すことが可能です。
検査結果によっては、再検査が必要な場合もあります。


費用

トリオ検査は自費となるため、病院により金額が変わりますが、だいたい15〜20万円となります。

病院によってはERA検査のみやEMMA・ALICE検査のみでも行っているところもありますので、気になる方は病院に問い合わせしてみてもいいかもしれません。


事例

ここで当院に来られた患者さんのお話をさせていただきます。

Iさんは何回移植しても着床しないため、試したことのない鍼灸で体質改善しようと思って当院に来て下さいました。

年齢的にも20代の方で、病院の先生も「何回か移植していけば、着床するはず」と採卵そして移植を繰り返し行って延べ5回。
良性胚でも着床しなかったので、子宮の検査をしようと次周期トリオ検査をする予定でした。

お仕事もハードで残業も多かったIさん。身体も疲労がたまっているけど、緊張もしていてガチガチに固くなっていました。

その緊張を取り、リラックスしやすい状態をつくるところから治療が始まりました。


治療を始め3回目。
緊張が緩んできて、肩周りのコリも少しずつ落ち着いてきていました。

そしてついにトリオ検査。
3週間待ってトリオ検査の結果は、
着床の窓はズレているし、ラクトバチルス菌の量も少なく、子宮内膜の炎症も起こっていました。

Iさんとしても「これがけズレて炎症も起こってたら、移植しても着床しないよなと感じた」とおっしゃっていました。
そこから抗生剤を飲み炎症の治療をしていきました。


徐々に身体も力が抜け、リラックスしやすくなってきていました。
「朝一番のしんどい感じがなくなってきた」とIさん自身、変化に驚いていました。

そして移植当日。
ERA検査のズレを考慮して、1日早めの移植でした。

その結果、無事に陽性
初めての陽性判定にIさんは信じられず、家でもチェッカーで陽性が出るか試したとおっしゃっていました。

そして無事に出産されました。

子宮環境も整えつつ、鍼灸で身体の緊張を取ることで着床するためのエネルギーが貯えられたのではないかと思います。


まとめ

TRIO検査は、子宮内膜に着床不全の原因が無いかを調べる3つの検査(ERA・EMMA・ALICE)をまとめものとなります。


ERA検査は、最も着床しやすい時期(着床の窓)を調べるものです。
検査結果の報告は様々あり、まだ先進医療の中でエビデンスを積み重ねている途中といえます。

EMMA検査は子宮内膜の良い菌(ラクトバチルス菌)の割合を調べる検査で、ラクトバチルス菌が90%以上の方は90%以下の方と比べ、着床率、妊娠率、妊娠継続率、生児獲得率が高くなるとしています。

ALICE検査は慢性子宮内膜炎を引き起こす菌の割合をみる検査のことで、反復着床不全や反復流産の方のおよそ66%が慢性子宮内膜炎に罹患されています。

以上により、移植しても着床しない方、繰り返し流産を経験されている方はこの検査をしてみるのも良いかと思います。



初出:2024年8月28日
加筆修正:2025年10月24日

着床鍼灸


この記事の著作者

鍼灸師 柔道整復師 福田 真弓

「東京漢方鍼医会」会員

より詳しい内容はこちらをクリックしてご覧ください。

この記事の著作者

院長 鍼灸師 あんまマッサージ指圧師 松本 敏樹

東京漢方鍼医会 代表
不妊カウンセリング学会 認定不妊カウンセラー
臨床分子栄養医学研究会 認定カウンセラー
一般社団法人「日本生殖医学会」会員

より詳しい内容はこちらをクリックしてご覧ください。
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